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免疫療法

投稿日:2026.9.5/更新日:2026.11.6

KRAS変異がん治療2026年8月|膵がん新薬承認など2つの前進

この記事でわかること

  • 米FDAが膵臓がんにダラクソンラシブを承認し死亡リスクを6割低下させました。
  • 次世代型KRAS阻害薬ディバラシブが肺がんの第3相試験で既存薬に優越しました。
  • プレシジョンクリニックグループでは最新知見を踏まえた個別化医療を提案します。

KRAS変異があると言われた方へ
変異の型に合わせた治療を、当院に相談してみませんか?

RAS標的薬は米国で承認されましたが、日本で使えるまでには時間がかかります。その間に「自分の変異の型」を知っておくことが次の治療につながります。
当院は遺伝子パネル検査の結果をもとに、KRAS変異を標的にしたネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法や、抗がん剤・免疫療法の組み合わせを設計します。
これまでの治療歴と検査結果をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    KRAS変異が見つかったとき、これまでは有効な標的薬が限られており、不安を抱える方が少なくありませんでした。近年、難攻不落とされてきたRAS変異タンパク質を直接狙い撃ちにする創薬研究が急速に進展しています。今月は米国での新薬承認や、次世代薬の臨床試験結果など、治療の選択肢を大きく広げる動きがありました。最新の正確な情報を知ることは、納得のいく治療選択につながります。

    KRAS変異の膵臓がんにRAS阻害薬が米国で承認

    米食品医薬品局(FDA)は2026年8月26日、進行膵管腺がんに対する経口の新規KRAS阻害薬ダラクソンラシブを承認しました。

    これまで膵臓がんの約9割に存在するRAS変異は、創薬が極めて困難な標的とされてきました。今回承認されたダラクソンラシブは、1日1回服用する内服薬です。治療歴のある進行膵管腺がんを対象とした第3相臨床試験RASolute 302試験において、従来の化学療法と比較して死亡リスクを6割低下させました。全生存期間も従来の約2倍に達しており、極めて力強い臨床データを示しています。

    この結果は米国での承認であり、現時点で日本の保険診療ですぐに使えるわけではありません。しかし、国内の医療現場にも大きな希望をもたらす成果です。外来でも患者さまから「膵臓がんの新薬は日本でも使えますか」という質問を多くいただきます。ダラクソンラシブは効果が高い一方で、下痢や皮疹といった副作用への適切な管理が欠かせません。

    主治医や当グループにご相談いただき、今後の国内導入の動向や標準治療との兼ね合いを整理することをお勧めします。

    ダラクソンラシブの効果・副作用・日本で使えるまでの見通しは、ダラクソンラシブ(ラソンク)とはで詳しく解説しています。

    次世代KRAS阻害薬ディバラシブが肺がんで既存薬を上回る

    スイスのロシュ社は2026年7月、肺がんを対象とした第3相試験で次世代KRAS G12C阻害薬ディバラシブが既存承認薬に対する優越性を証明したと発表しました。

    対象となったのは、治療歴のあるKRAS G12C変異陽性の切除不能な非小細胞肺がんです。第3相Krascendo 1試験において、既に標準治療として承認されている第一世代薬のソトラシブまたはアダグラシブと直接比較が行われました。その結果、ディバラシブ群で無増悪生存期間などの主要評価項目が有意に改善しました。

    第一世代のKRAS阻害薬で課題となっていた耐性の克服に向けて、次世代薬が確かな優位性を示した意義は大きいです。

    こちらの薬剤も現在は国際的な臨床試験の段階であり、実臨床への導入には承認申請手続きを待つ必要があります。しかし、一度効果が落ちてしまった後の治療選択肢として、将来的に強力な武器となる可能性を秘めています。私たちの外来でも「一次治療が効かなくなった先が心配です」と不安を口にされる方がいらっしゃいます。

    将来の適応拡大や治験情報を視野に入れ、ゲノム情報を早期に把握しておくことについて主治医へ相談してみましょう。

    KRAS変異がんの微小環境と個別化医療の進展

    KRAS変異を標的とする治療薬の登場により、がん組織周囲の免疫状態や微小環境への介入がこれまで以上に注目されています。

    単に遺伝子の変異部位を遮断するだけでなく、薬剤が腫瘍微小環境に与える影響を解析する研究が世界中で加速しています。KRASシグナルが遮断されると、がん細胞が免疫細胞から逃れる仕組みが弱まり、免疫療法の効果が高まる現象が報告されています。今後は単剤療法にとどまらず、免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤との併用療法へと開発パイプラインが広がっていく見通しです。

    当院でも患者さまから「遺伝子検査で変異が見つかったら、すぐに新薬を使えますか」と相談を受ける場面が増えています。分子標的薬を最大限に活かすためには、個々の患者さまの免疫状態や全身状態を多角的に評価することが不可欠です。現在の標準治療を確実に受けながら、次のステップとしてどのような治験や併用療法の可能性があるのか、主治医や専門クリニックへ相談しながら計画を立てることが大切です。

    当院の実例

    余命1か月と説明された膵体部がんステージ4bに、抗がん剤・活性化リンパ球療法・樹状細胞ワクチン療法を重ね、原発巣と肝転移が縮小した50代男性

    多発肺転移・肝転移・副腎転移で手術不能、主治医からは余命1か月と説明されました。抗がん剤(ジェムザール+TS-1)に活性化リンパ球療法を先に加え、3か月後に樹状細胞ワクチン療法を追加。原発巣と多発肝転移の縮小を確認しています。RAS変異の膵臓がんで新薬を待つ間に、いま使える治療を重ねて時間をつくった一例です。

    症例の詳細を見る →

    ※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。

    まとめ

    2026年8月は、難治性の膵臓がんでダラクソンラシブが米FDA承認を取得し、肺がんでも次世代薬ディバラシブが第3相試験で優越性を示すなど、KRAS変異がん治療に確かな前進が見られた1か月でした。

    プレシジョンクリニックグループが創業以来最も取り組んでいるがん種が、まさにこのKRAS変異を有する難治性がんです。当グループでは包括的なゲノム解析に基づき、腫瘍微小環境や患者さま一人ひとりの状態に応じた個別化医療の実績を積み上げています。国内外の治験情報や最新治療について知りたい方は、主治医や当グループにお気軽にご相談ください。

    KRAS・NRAS・HRASの変異が分かっている方の治療相談は、RAS変異がん専門外来(RAS外来)で受け付けています。

    KRAS変異があると言われた方へ
    変異の型に合わせた治療を、当院に相談してみませんか?

    RAS標的薬は米国で承認されましたが、日本で使えるまでには時間がかかります。その間に「自分の変異の型」を知っておくことが次の治療につながります。
    当院は遺伝子パネル検査の結果をもとに、KRAS変異を標的にしたネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法や、抗がん剤・免疫療法の組み合わせを設計します。
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      よくある質問

      KRAS変異の型はどう調べますか?

      がん遺伝子パネル検査(組織)またはリキッドバイオプシー(血液)で、G12D・G12V・G12R・G12Cなどの型が分かります。型によって使える薬や治験が異なるため、当院では最初に確認をおすすめしています。

      ダラクソンラシブとディバラシブは何が違いますか?

      ダラクソンラシブはRAS変異を広く狙う「pan-RAS(汎RAS)」型の阻害薬で、膵臓がんで米国承認されました。ディバラシブはKRAS G12C変異に特化した次世代型で、肺がんの第3相試験で既存薬を上回りました。対象となる変異の型が異なります。

      新薬が日本で使えるまで、KRAS変異のがんにできる治療はありますか?

      あります。当院では変異したKRASタンパク質そのものをネオアンチゲン(がんの目印)として樹状細胞ワクチン療法の標的に設計することを、HLA型と変異の型に応じて検討しています。抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせもあわせて設計します。また国内では、ダラクソンラシブの第III相試験(RASolute 303・304)などが参加者を募集しています(2026年11月確認)。

      国内治験の実施施設と参加の条件はダラクソンラシブ(ラソンク)とは|国内の治験にまとめています。

      参考にした記事

      監修:矢﨑 雄一郎 医師

      プレシジョンクリニック 東京院長/医療法人社団プレシジョンメディカルケア 理事長 | 専門分野:一般外科・消化器外科

      がんゲノム情報に基づく個別化医療と免疫療法を専門とし、標準治療と組み合わせた治療設計に取り組んでいます。著書『免疫力をあなどるな!』。

      【免責事項】本記事は2026年8月に公表された公的機関の発表・査読論文・主要医学メディアの報道に基づいて作成しています。一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の患者さまへの診療を行うものではありません。記載した治療のなかには、国内の保険適用や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療方針は、主治医または専門医にご相談ください。
      【最終更新日】2026年11月5日

      監修医師:矢﨑 雄一郎医師

      監修医師

      矢﨑 雄一郎医師

      免疫療法・研究開発

      東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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