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TOP コラム 抗がん剤 【ASCO 2026速報】ダラクソンラシブ第III相Full Data公開|膵臓がん生存期間2倍を確定

抗がん剤

投稿日:2026.6.1/更新日:2026.9.13

【ASCO 2026速報】ダラクソンラシブ第III相Full Data公開|膵臓がん生存期間2倍を確定

Answer — この速報のポイント

ダラクソンラシブ(daraxonrasib / RMC-6236)は、2026年5月31日のASCO Annual Meeting Plenary Session(LBA4005)で第III相RASolute 302試験の最終解析が発表された世界初のPan-RAS阻害薬です。既治療の転移性膵管腺癌において、RAS G12変異集団でのOS中央値13.2ヶ月 vs 6.6ヶ月(HR 0.40、死亡リスク60%低下)という化学療法を大幅に上回る生存延長が確定し、同日NEJMに論文掲載されました(DOI:10.1056/NEJMoa2605555)。

2026年5月31日(米国現地時間)、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のPlenary Session(最重要演題セッション)で、膵臓がん新薬ダラクソンラシブ(daraxonrasib / RMC-6236)の第III相試験「RASolute 302」の最終解析データが発表されました。同日、医学誌New England Journal of Medicine(NEJM)にも論文が掲載されています。既治療の転移性膵臓がんにおいて、全生存期間(OS)を化学療法の約2倍に延長し、死亡リスクを60%低下させるという結果が確定しました。本記事では、専門医がこの最新データを速報解説します。

📌 ダラクソンラシブの基礎(作用機序・副作用・日本での見通し・KRAS検査など)については、「ダラクソンラシブとは|RAS変異膵臓がん新薬・最新エビデンス完全解説」で詳しく解説しています。

この記事でわかること

  • ASCO 2026 Plenary Session(LBA4005)で発表されたRASolute 302の最終解析データ
  • 全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)の確定数値
  • RAS G12変異集団と全体集団(ITT)での効果の一貫性
  • QOL(生活の質)と安全性の評価
  • 今後のFDA承認スケジュールと日本への示唆

KRAS/RAS変異・ダラクソンラシブについて相談したい方へ
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ダラクソンラシブを含むRAS阻害薬は、KRAS変異の種類・治療歴・全身状態・国内外の臨床試験情報を確認したうえで、検討すべき選択肢を整理する必要があります。
待つ間に病状が進むことが最大のリスクです。標準治療に免疫療法を重ねる設計を今から始められます。
遺伝子検査の結果や現在の治療状況をふまえ、RAS変異がん専門外来で一つひとつご相談します。ご相談は無料です。

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    ASCO Plenary Sessionでの発表という意味

    ASCOのPlenary Sessionは、年間数千の演題の中から最も影響力が大きいと判断された数演題のみが選ばれる、がん臨床における最高峰の発表枠です。今回のダラクソンラシブの発表(演題番号LBA4005)は、ハーバード大学・ダナファーバーがん研究所のBrian Wolpin医師が登壇しました。膵臓がん治療がこの枠に選ばれること自体が、このデータの重要性を物語っています。

    RASolute 302試験の概要

    RASolute 302は、6カ国59施設で実施された国際共同第III相試験です。標準的な一次治療(フルオロピリミジン系またはゲムシタビン系)を1ライン受けた後に病勢進行した転移性膵管腺癌(mPDAC)の患者500例を対象としました。

    項目 内容
    試験名 RASolute 302(NCT06625320)
    登録数 500例(ダラクソンラシブ群248例 vs 化学療法群252例)
    割付 1対1の無作為化、非盲検
    用法 ダラクソンラシブ(daraxonrasib / RMC-6236)300mg 1日1回 経口
    対照 医師選択による標準化学療法(4種類のレジメンから選択)
    RAS変異 登録要件ではなかったが、500例中459例がRAS G12変異を保有
    データカットオフ 2026年2月10日(追跡期間中央値8.5ヶ月)

    注目すべきは、RAS変異の有無を問わず登録した点です。これはダラクソンラシブが変異型・野生型の両方のRASを標的とする「Pan-RAS(汎RAS)」型の作用機序を持つためで、試験デザインそのものがこの薬剤の特徴を反映しています。

    主要結果①:全生存期間(OS)

    主要評価項目であるRAS G12変異集団での全生存期間は、以下の通りでした。

    RAS G12変異集団(ダラクソンラシブ228例 vs 化学療法231例)

    • OS中央値:13.2ヶ月 vs 6.6ヶ月
    • ハザード比(HR):0.40(95%CI 0.30〜0.54)
    • p値:5.9×10⁻¹⁰
    • 死亡リスク:60%低下

    さらに重要なのは、RAS変異の有無を含めた全体集団(ITT:500例全体)でもほぼ同一の結果が得られたことです。OS中央値13.2ヶ月 vs 6.7ヶ月、ハザード比は同じく0.40でした。RAS G12変異集団と全体集団で結果がほぼ一致したことは、この薬剤の幅広いRAS標的メカニズムの妥当性を裏づけるものと考えられます。

    主要結果②:無増悪生存期間(PFS)

    がんが進行せずにコントロールされている期間(PFS)も、明確に延長しました。

    • RAS G12変異集団:7.3ヶ月 vs 3.5ヶ月(HR 0.40)
    • 全体集団(ITT):7.2ヶ月 vs 3.6ヶ月

    いずれも化学療法群の約2倍であり、病勢進行までの時間が大幅に延びたことを示しています。

    主要結果③:QOL(生活の質)と安全性

    奏効率(ORR)に加え、患者報告によるQOL(生活の質)も化学療法と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示しました。延命だけでなく「生活の質を保ちながら長く生きられる」可能性を示した点は、患者さんとご家族にとって特に重要な意味を持ちます。ダラクソンラシブは1日1回の経口薬であり、点滴を要する化学療法と比べて通院・身体的負担の面でも利点があります。

    安全性については「忍容性は概ね良好で、新たな安全性シグナルは認められなかった」と報告されました(ASCO Plenary Session発表)。主な有害事象は皮疹・下痢などで、Grade 3以上は61.8%(対照:化学療法群69.6%)でした。ただし長期投与時の安全性については今後のデータ蓄積が必要です。

    今後の承認スケジュールと日本への示唆

    Revolution Medicines社は、これらのデータをもとに米国食品医薬品局(FDA)への新薬承認申請(NDA)を予定しています。同薬はFDAのCommissioner’s National Priority Voucher(優先審査バウチャー)パイロットプログラムに選定されており、通常より大幅に短縮された審査期間(1〜2ヶ月)が見込まれます。また、RAS G12変異を有する既治療転移性膵臓がんに対するオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定も取得済みです。

    日本での承認時期について公式発表はありませんが(2026年6月時点)、FDA承認(2026年後半〜2027年前半見込み)後に国内申請・審査が行われ、承認まで通常1〜3年を要する見通しです(推論)。プレシジョンクリニックでは、RAS変異がんの最新治療動向を継続的に追跡し、患者さんに最適な情報を提供してまいります。

    当院の実例

    腹膜播種のため切除できなかった膵臓がんステージ4に、抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法を併用して約4年の長期生存が得られた74歳女性

    手術を受けましたが腹膜播種を認め、切除せず閉腹となりました。抗がん剤(ジェムザール、のちにジェムザール+アブラキサン)の開始とほぼ同時に樹状細胞ワクチン療法を始め、腫瘍マーカー(CA19-9)は1,214から178へ改善。約4年の長期生存が得られています。新薬の承認を待つ間も、いま使える標準治療に免疫療法を重ねて時間をつくる、という設計の一例です。

    症例の詳細を見る →

    ※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。

    よくある質問(FAQ)

    Q. 今回のASCOデータと以前のデータの違いは何ですか?

    2026年4月に発表されていたのは「トップライン(速報)」で、OS 13.2ヶ月という主要数値のみでした。今回のASCO発表(最終解析・LBA4005)では、RAS G12変異集団と全体集団(ITT)の両方のOS・PFS、QOL、安全性を含む詳細データが公開され、NEJMにも論文掲載されました。これにより、効果が一部の患者だけでなく幅広い集団で一貫していることが確認されました。

    Q. 日本でダラクソンラシブ(daraxonrasib)は使えますか?

    2026年6月時点で、ダラクソンラシブは日本国内では未承認です。FDA承認(2026年後半〜2027年前半見込み)後に国内申請・審査が進む見通しで、日本での承認は承認後さらに1〜3年を要する可能性があります(推論)。今後の状況は当院でも継続的に追跡しています。

    Q. 膵臓がん以外にも効果は期待できますか?

    ダラクソンラシブは膵臓がんのほか、非小細胞肺がん(NSCLC)・大腸がんなど、RAS変異を持つ複数のがん種を対象に開発が進められています。現在、膵臓がん3本(RASolute 302・303・304)・肺がん1本(RASolve 301)の合計4本の第III相試験が国際的に進行中です。ただし膵臓がん以外の第III相試験の結果はまだ公表されていません(2026年6月時点)。

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    生存期間2倍という結果は大きな進歩ですが、日本で使えるのはまだ先です。
    KRAS変異を確認し、標準治療に免疫療法を重ねる設計を今から始められます。
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      参考文献・一次情報

      1. O’Reilly EM, Wainberg ZA, Hendifar AE, et al. Daraxonrasib or Chemotherapy in Previously Treated Metastatic Pancreatic Cancer. N Engl J Med. Published online May 31, 2026. DOI:10.1056/NEJMoa2605555
        ※ 正式Volume/Issue/ページは収載確定後に更新します
        → 論文を読む(NEJM)
      2. O’Reilly EM, Wainberg ZA, Hendifar AE, et al. Daraxonrasib, a RAS(ON) multi-selective inhibitor vs chemotherapy in previously treated metastatic pancreatic adenocarcinoma (mPDAC): primary and final analysis from the phase 3 RASolute 302 study. J Clin Oncol. 2026;44(suppl 17):LBA4005.
      3. ClinicalTrials.gov. RASolute 302: A Study of Daraxonrasib in Previously Treated Metastatic Pancreatic Cancer. NCT06625320.
        → 臨床試験情報を見る

      【表記について】「ダラキソンラシブ」と表記・検索されることがありますが、正式な一般名は「ダラクソンラシブ(daraxonrasib)」です(開発コード:RMC-6236)。

      【免責事項】本記事は、2026年6月時点で公表されている査読論文・学会発表・主要医学メディア報道に基づいて作成しています。ダラクソンラシブは2026年6月現在、日本国内で承認されていません。本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の患者さまへの診療を行うものではありません。実際の治療方針は、必ず主治医または専門医にご相談ください。

      ※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。研究段階・適応外の薬剤等には、国内の保険適用や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。

      【監修】矢﨑雄一郎(プレシジョンクリニック東京院長/医療法人社団プレシジョンメディカルケア)

      【最終更新日】2026年6月15日

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