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膵臓癌ステージⅣ、標準治療を終えて緩和ケアに移っていた70代男性|遺伝子パネル検査をもとに免疫療法と放射線療法を組み合わせた経過

膵臓がん
70代 男性
ステージⅣ
腹膜播種
肝転移
肺転移KRAS変異
FOLFIRINOX
分子標的薬
樹状細胞ワクチン
免疫チェックポイント阻害薬
オプジーボ
放射線療法
CA19-9低下CEA低下QOL改善食欲の回復

この症例のポイント

  • 相談時の状況:膵頭部のがん(ステージⅣ)で、肝臓・肺・腹膜に転移があった70代の男性です。抗がん剤(FOLFIRINOX)の選択肢がなくなり緩和ケアに移っていましたが、ご本人とご家族の希望で当院を受診されました。
  • 検討した課題:初診時から日に日に体力が落ち、腫瘍マーカーの上昇とともに痛みも強くなり、自分で歩いて通院できない状態でした。この体力でも受けられる治療を、どう組み立てるかを検討しました。
  • 行った治療と経過:遺伝子パネル検査でKRAS変異を認め、分子標的薬の準備をしながら、樹状細胞ワクチン療法(4か月・7回)・免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ・3回)・放射線療法を併用しました。腫瘍マーカー(CA19-9)は15,105から1,427へ下がってCEAも低下し、食欲は約30%から約80%へ戻り、腹膜播種による腹壁のしこりと痛みは消失しました。

KRAS変異があると言われた方は、RAS変異がん専門外来のページもご覧ください。

膵臓癌で「標準治療はもうない」と言われた方へ。
診察させてください。

いまの体の状態で何ができるかを、一緒に考えませんか。
まずは、これまでの治療と現在の状況をお聞かせください。
初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。
ご相談と初診は無料です(2回目以降の診察は有料です)。

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    診断名

    膵頭部がん ステージⅣ。当院来院時、多発肝転移・肺転移・腹膜播種を伴っていました。

    治療の経過

    段階 内容
    経過の起点 多発肝転移・肺転移・腹膜播種に対し標準治療(FOLFIRINOX)を行うも選択肢がなくなり、緩和ケアに移行。
    当院受診 ご本人・ご家族が治療を希望し受診。
    初診時の状態 初診時から日に日に体力が低下し、腫瘍マーカーの上昇とともに痛みも増悪。自立歩行での通院もできない状態でした。
    遺伝子パネル検査 KRAS変異を認め、これに基づいて分子標的薬を選択。
    治療設計 分子標的薬治療の準備をしつつ、免疫療法(樹状細胞ワクチン療法・免疫チェックポイント阻害薬〈オプジーボ(ニボルマブ)〉)と放射線療法を併用。
    経過 治療開始後しばらくして、上昇し続けていた腫瘍マーカー(CA19-9)が 15,105→1,427 へ低下し、CEA も低下。食欲は約30%から約80%へ回復しました。
    QOL 腹膜播種による腹壁のしこりが消失し、痛みも消失。

    腫瘍マーカー基準値:CA19-9 37 U/mL以下/CEA 5 ng/mL以下。

    腫瘍マーカーの推移
    腫瘍マーカーの推移

    治療の考え方

    当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押していきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

    本症例では、標準治療としての抗がん剤(FOLFIRINOX)・分子標的薬に、免疫を活性化する〈アクセル〉として樹状細胞ワクチン療法を、免疫の〈ブレーキ解除〉として免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)を、局所療法〈スイッチ〉として放射線療法を組み合わせています。

    分子標的薬はKRAS変異を抑えるための薬剤を用いています。

    膵臓癌ステージ4に対する当院の治療の組み立て(抗がん剤と免疫療法・分子標的治療をどう組み合わせるか)は、膵臓がんステージ4の治療選択肢|標準治療後・KRAS・免疫療法の相談にまとめています。

    治療期間・回数

    樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。本症例での実施回数:樹状細胞ワクチン療法 4ヶ月・7回投与/免疫チェックポイント阻害薬 3回投与/放射線療法(連携医療機関にて実施)。

    費用

    当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。

    副作用・リスク

    免疫療法のうち、樹状細胞ワクチン療法・活性化リンパ球療法では重い副作用が認められることはほとんどありません。一方、免疫チェックポイント阻害薬では免疫が過剰に働くことによる副作用(免疫関連有害事象)に注意が必要です。主な副作用は以下のとおりです。

    • 成分採血時:口の周り・手足のしびれ、倦怠感、吐き気(迷走神経反射)等
    • 細胞培養時:培養時の細菌等による汚染 など
    • ワクチン接種時:注射部位の発赤、皮疹、発熱
    • (免疫チェックポイント阻害薬)免疫が過剰に働くことによる副作用:間質性肺疾患、大腸炎・下痢、1型糖尿病、肝機能障害・肝炎、甲状腺などの内分泌障害、皮膚障害、神経障害、注入時反応(インフュージョンリアクション) など

    院長から

    全身状態によってはお受けできないこともありますが、標準治療が終わったあとの続きを引き受けるのも、私たちの役割だと考えています。この方は、歩いて通院できないほど体力が落ちた状態で、遺伝子パネル検査をもとに樹状細胞ワクチン療法・免疫チェックポイント阻害薬・放射線療法を組み合わせました。この体力でも受けられる形に組み立てたことが、痛みとしこりが消え、食欲が戻った経過に寄与できた可能性があると考えています。

    腹膜播種がある場合の治療の選び方は、腹膜播種の治療相談のページでもご案内しています。

    ご自身の場合に何ができるかは、
    資料を見てからお答えします。

    画像と検査値を見ないと、はっきりしたことはお答えできません。まずは今の状況をお聞かせください。
    【ご相談の流れ】

    ① お電話(医師または看護師が対応)またはフォームで、現在の状況をうかがいます
    ② 初診で、医師が検査結果などの資料を確認し、標準治療を含む選択肢と当院での治療の適否をご説明します
    ③ 費用とリスクをご説明します
    ご相談と初診は無料です。2回目以降の診察は有料です。

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      よくある質問(FAQ)

      Q. 標準治療が終わり緩和ケアと言われた膵臓がんでも、まだ治療はできますか?

      この症例のように、標準治療の選択肢がなくなった後でも、遺伝子パネル検査で分子標的薬の可能性を探りつつ、免疫療法(樹状細胞ワクチン療法・免疫チェックポイント阻害薬)や放射線療法を組み合わせる設計は可能です。ただし全身状態によって行える治療は変わるため、まず治療歴と検査結果をもとに検討します。

      Q. 腫瘍マーカーが下がれば、がんは良くなっているのですか?

      腫瘍マーカーの低下は、治療が効いている可能性を示す指標のひとつです。ただし画像や症状とあわせて判断するもので、マーカーだけで治癒を意味するものではありません。この症例でもCA19-9の低下と同時に、食欲や痛みなどQOLの改善を確認しています。

      Q. KRAS変異があると言われました。膵臓がんに使える分子標的薬はありますか?

      膵臓がんの約9割にKRAS変異があります。RAS阻害薬の開発が進み、米国で承認された薬もありますが、日本では未承認のものが多く、使える薬は変異の型や時期によって異なります。遺伝子パネル検査の結果をもとに、免疫療法との組み合わせも含めてご説明します。

      ご紹介したのは、一人の患者さまの経過です。
      そこから先は、診察でお話ししましょう。

      診断名や現在の治療が曖昧でも構いません。まずは現在の状況をお聞かせください。
      初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。(2回目以降の診察は有料です)

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        ※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、本症例で用いた治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。

        矢﨑 雄一郎 医師

        監修:矢﨑 雄一郎 医師

        プレシジョンクリニック 東京院長/医療法人社団プレシジョンメディカルケア 理事長 | 専門分野:一般外科・消化器外科

        がんゲノム情報に基づく個別化医療と免疫療法を専門とし、標準治療と組み合わせた治療設計に取り組んでいます。著書『免疫力をあなどるな!』。

        詳しい経歴はこちら

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