投稿日:2024.10.15/更新日:2026.10.21
この記事でわかること
膵臓がんのステージ分類は、がんの進行度や広がりに基づいて治療法を決定するために重要です。膵臓がんは、発見が難しいことや進行が早いことで知られており、診断された時点で多くの場合進行していることが多いです。以下は、膵臓がんにおけるステージ分類の詳細です。
膵臓がんの進行度は、一般的にTNM分類に基づいて評価されます。
膵臓がんは、TNM分類に基づいてステージ(病期)を分類します。
膵臓がんのステージ分類は治療法の選択に大きな影響を与えます。
膵臓がんは早期に症状が現れにくいため、多くの患者が進行してから診断されます。特にステージIVでは予後が厳しく、治療戦略も限られていますが、最近では治療の進展によりステージIVの膵臓がんでも生存期間が延長するケースも増えています。
膵臓がんの治療選択肢や予後は、がんのステージに加えて、患者の全身状態、がんのタイプ、遺伝子変異なども考慮して決定されます。
ステージは「診断時点の広がり」を表す出発点で、治療の結論ではありません。同じステージIIIでも、血管への浸潤の程度、体力、遺伝子変異(KRAS、BRCA、MSI-Hなど)、そして最初の抗がん剤にどれだけ反応したかで、その後の道筋は分かれます。近年は、切除不能とされた局所進行がんが抗がん剤や放射線・粒子線治療で縮小し、手術が可能になる「コンバージョン手術」が現実の選択肢になりました。ステージIVでも、標準治療の抗がん剤を土台に免疫療法などを組み合わせ、生活の質を保ちながら長く経過している方がいます。
大切なのは、告げられたステージで治療の幅を決めつけないことです。膵臓癌の標準治療を軸に、ご自身の状態でどこまで検討できるかを、主治医と、必要なら第二の意見として当院にもご相談ください。
当院の実例
血管浸潤で手術困難だった膵臓がんステージⅢが、重粒子線・抗がん剤・樹状細胞ワクチン療法で縮小し、コンバージョン手術で寛解に至った40代男性
膵体部がんステージⅢで、主要な血管への浸潤のため当初は手術が困難と診断された方です。重粒子線治療と抗がん剤(ジェムザール)でわずかに縮小し、判定は進行停止でした。副作用のため抗がん剤をTS-1へ変更し、樹状細胞ワクチン療法を併用したところ、縮小が維持されたため手術が可能となり、コンバージョン手術を実施しました。術後は病理医から「残存腫瘍(膵臓がん細胞)は指摘できない」と報告され、寛解となって再発なく経過しています。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。ステージⅢの全員に手術が可能になるわけではなく、同じ結果をお約束するものではありません。
原則として、遠隔転移があるステージIVでは手術による根治は難しく、抗がん剤治療が中心になります。ただし、肝転移が少数で抗がん剤によく反応した場合などに、限られた施設で手術が検討されることはあります。まずは転移の数と場所、抗がん剤への反応を確かめることが先です。
違いは「遠隔転移の有無」です。ステージIIIは腫瘍が膵臓の周りの主要な血管に広がっている(T4)ものの、肝臓や肺などへの転移はない状態。ステージIVは、腫瘍の大きさに関わらず遠隔転移がある状態です。ステージIIIは局所の治療(放射線・粒子線・コンバージョン手術)が選択肢に入る点が、ステージIVと大きく異なります。
変わります。画像で決めた臨床ステージは、手術で取った組織を調べた病理ステージで上下することがあります。また、治療の途中で転移が新たに見つかれば進行、縮小して手術が可能になれば実質的に治療の区分が変わります。定期的な画像検査と腫瘍マーカーで、その時点の状態を確かめながら治療を組み立てます(膵臓がんの検診・早期発見)。
監修医師
矢﨑 雄一郎医師
免疫療法・研究開発
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。