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膵臓がん

投稿日:2024.10.15/更新日:2026.10.21

膵臓がん(膵臓癌)のステージ分類

この記事でわかること

  • 膵臓がんのTNM分類(T:腫瘍の大きさと血管への広がり、N:リンパ節転移、M:遠隔転移)の読み方。
  • ステージIA〜IVの定義と、「切除可能・境界切除可能・切除不能局所進行・遠隔転移」という治療上の4区分。
  • ステージが同じでも治療は一つではない理由(血管浸潤、全身状態、遺伝子変異、治療への反応)。
  • 当院で手術困難のステージⅢから、重粒子線・抗がん剤・免疫療法を経てコンバージョン手術に至った実例。

膵臓がんのステージ分類は、がんの進行度や広がりに基づいて治療法を決定するために重要です。膵臓がんは、発見が難しいことや進行が早いことで知られており、診断された時点で多くの場合進行していることが多いです。以下は、膵臓がんにおけるステージ分類の詳細です。

膵臓がんのTNM分類

膵臓がんの進行度は、一般的にTNM分類に基づいて評価されます。

  1. T(Tumor): 原発腫瘍の大きさと局所進展T1: 腫瘍が膵臓内にあり、最大径が2cm以下
    T2: 腫瘍が膵臓内にあり、最大径が2cmを超える
    T3: 腫瘍が膵臓外へ進展しているが、近くの大きな血管には達していない
    T4: 腫瘍が膵臓外の重要な血管(腹腔動脈や上腸間膜動脈など)に浸潤している
  2. N(Node): リンパ節転移N0: リンパ節に転移がない
    N1: 1〜3個の近くのリンパ節に転移がある
    N2: 4個以上の近くのリンパ節に転移がある
  3. M(Metastasis): 遠隔転移M0: 遠隔転移がない
    M1: 遠隔転移がある(肝臓、肺、腹膜などへの転移)

膵臓がんのステージ分類

膵臓がんは、TNM分類に基づいてステージ(病期)を分類します。

  • ステージIA:腫瘍が膵臓内にあり、2cm以下(T1)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIB:腫瘍が膵臓内にあり、2cmを超える(T2)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIIA:腫瘍が膵臓外に広がっているが、主要な血管に浸潤していない(T3)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIIB:腫瘍が膵臓内または外に広がっているが、主要な血管には浸潤していない(T1-T3)、リンパ節転移があり(N1)、遠隔転移がない(M0)
  • ステージIII:腫瘍が膵臓外に広がり、主要な血管に浸潤している(T4)、リンパ節転移がある場合もない場合もある(N0-N2)、遠隔転移はない(M0)
  • ステージIV:遠隔転移がある(M1)。膵臓やその周囲の進展やリンパ節転移の有無に関わらず、がんが肝臓、肺、腹膜などの遠隔臓器に転移している。

治療選択におけるステージの影響

膵臓がんのステージ分類は治療法の選択に大きな影響を与えます。

  1. 切除可能(Resectable)なステージ(ステージIおよび一部のステージII):がんが膵臓内または近くに留まり、周囲の重要な血管に浸潤していない場合、外科的切除が可能です。手術後には化学療法や放射線療法が追加されることがあります。
  2. 境界切除可能(Borderline resectable)なステージ(一部のステージII):腫瘍が主要な血管に近いが、完全に切除可能な可能性がある場合には、手術前に化学療法や放射線療法が行われ、がんの縮小を試みます。
  3. 切除不可能な局所進行がん(Unresectable locally advanced)(ステージIII):腫瘍が主要な血管に広く浸潤しているため、手術で完全に切除できない場合、化学療法や放射線療法が中心となります。
  4. 遠隔転移がある場合(ステージIV):治療の目標は、主に延命や症状の緩和を目指すことです。化学療法が標準治療として行われますが、患者の状態に応じて免疫療法なども考慮されることがあります。

膵臓がんの特徴

膵臓がんは早期に症状が現れにくいため、多くの患者が進行してから診断されます。特にステージIVでは予後が厳しく、治療戦略も限られていますが、最近では治療の進展によりステージIVの膵臓がんでも生存期間が延長するケースも増えています。

膵臓がんの治療選択肢や予後は、がんのステージに加えて、患者の全身状態、がんのタイプ、遺伝子変異なども考慮して決定されます。

ステージが同じでも、治療の選択肢は一つではありません

ステージは「診断時点の広がり」を表す出発点で、治療の結論ではありません。同じステージIIIでも、血管への浸潤の程度、体力、遺伝子変異(KRAS、BRCA、MSI-Hなど)、そして最初の抗がん剤にどれだけ反応したかで、その後の道筋は分かれます。近年は、切除不能とされた局所進行がんが抗がん剤や放射線・粒子線治療で縮小し、手術が可能になる「コンバージョン手術」が現実の選択肢になりました。ステージIVでも、標準治療の抗がん剤を土台に免疫療法などを組み合わせ、生活の質を保ちながら長く経過している方がいます。

大切なのは、告げられたステージで治療の幅を決めつけないことです。膵臓癌の標準治療を軸に、ご自身の状態でどこまで検討できるかを、主治医と、必要なら第二の意見として当院にもご相談ください。

当院の実例

血管浸潤で手術困難だった膵臓がんステージⅢが、重粒子線・抗がん剤・樹状細胞ワクチン療法で縮小し、コンバージョン手術で寛解に至った40代男性

膵体部がんステージⅢで、主要な血管への浸潤のため当初は手術が困難と診断された方です。重粒子線治療と抗がん剤(ジェムザール)でわずかに縮小し、判定は進行停止でした。副作用のため抗がん剤をTS-1へ変更し、樹状細胞ワクチン療法を併用したところ、縮小が維持されたため手術が可能となり、コンバージョン手術を実施しました。術後は病理医から「残存腫瘍(膵臓がん細胞)は指摘できない」と報告され、寛解となって再発なく経過しています。

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※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。ステージⅢの全員に手術が可能になるわけではなく、同じ結果をお約束するものではありません。

よくある質問

膵臓がんのステージ4と言われたら、手術はもう無理ですか?

原則として、遠隔転移があるステージIVでは手術による根治は難しく、抗がん剤治療が中心になります。ただし、肝転移が少数で抗がん剤によく反応した場合などに、限られた施設で手術が検討されることはあります。まずは転移の数と場所、抗がん剤への反応を確かめることが先です。

ステージIIIとステージIVの違いは何ですか?

違いは「遠隔転移の有無」です。ステージIIIは腫瘍が膵臓の周りの主要な血管に広がっている(T4)ものの、肝臓や肺などへの転移はない状態。ステージIVは、腫瘍の大きさに関わらず遠隔転移がある状態です。ステージIIIは局所の治療(放射線・粒子線・コンバージョン手術)が選択肢に入る点が、ステージIVと大きく異なります。

ステージは途中で変わりますか?

変わります。画像で決めた臨床ステージは、手術で取った組織を調べた病理ステージで上下することがあります。また、治療の途中で転移が新たに見つかれば進行、縮小して手術が可能になれば実質的に治療の区分が変わります。定期的な画像検査と腫瘍マーカーで、その時点の状態を確かめながら治療を組み立てます(膵臓がんの検診・早期発見)。

膵臓がんのステージを告げられた方へ
そのステージでできる治療を、当院に相談してみませんか?

ステージは治療方針の出発点であって、結論ではありません。
ステージ4でも、標準治療に免疫療法などを組み合わせて検討できる選択肢があります。
これまでの治療歴と検査結果をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    監修医師:矢﨑 雄一郎医師

    監修医師

    矢﨑 雄一郎医師

    免疫療法・研究開発

    東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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