投稿日:2020.5.30/更新日:2026.10.21
この記事でわかること
膵臓がん(すい臓がん・膵癌)は早期発見が難しく、「サイレントキラー」とも呼ばれます。本記事では、
膵臓がんの症状、診断方法、最新の治療選択肢について、最新の医学的知見に基づいて詳しく解説します。
膵臓は胃の後ろに位置する長さ約15cm、重さ約100gの臓器です。消化酵素を分泌する外分泌機能と、
血糖値を調節するホルモンを分泌する内分泌機能の2つの重要な役割を担っています。
膵臓は以下の部位に分けられます。
この解剖学的特徴が、膵臓がんの症状や治療方針に大きく影響します。
膵臓がんの主な危険因子として、以下が挙げられます。
膵臓がんの初期症状は非常に曖昧で、以下のような一般的な不調として現れることが特徴です。
以下の症状が出現した場合は、要注意サインとして認識する必要があります。
膵臓がんの診断には、段階的なアプローチが重要です。
膵臓がんの治療は、病期(ステージ)と患者さんの全身状態を考慮して、以下の選択肢から最適な方法を選択します。
当院の実例
便潜血をきっかけに見つかった切除不能の膵体部がんステージ4(動脈浸潤・リンパ節転移)に、抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法を併用し、4年以上無再発で経過している60代男性
がんが動脈に浸潤しリンパ節転移もあったため手術はできず、抗がん剤(FOLFIRINOX)を開始。全身倦怠感と食欲低下が出たことを機に当院を受診され、抗がん剤と併用する形で樹状細胞ワクチン療法を始めました。その後の検査でがんは画像上「影として残るのみ」と主治医から評価され、4年以上再発なくお元気に経過しています。「見つかったときには進行していた」膵臓がんでも、治療の組み立てで長期の経過が得られることを示す一例です。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。
原因不明の背中や上腹部の痛み、体重減少、50歳以降に新しく出た糖尿病や急に悪化した糖尿病、皮膚や白目が黄色くなる黄疸は受診の目安です。腹部超音波で見つけにくい部位もあるため、CT・MRIや超音波内視鏡(EUS)を組み合わせます。
早期の膵臓がんではCA19-9が正常のことが多く、また体質的にCA19-9が作られない方もいます。マーカー単独では早期発見できないため、画像検査と合わせて判断します。
標準治療の抗がん剤や放射線を土台に、当院では樹状細胞ワクチン療法などの免疫療法を重ねて進行を抑える設計を行います。膵臓がんの治療ページでステージ別の考え方を説明しています。
監修医師
矢﨑 雄一郎医師
免疫療法・研究開発
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。