Pioneering Precision Oncology in Japan
〜膵臓がんステージ4と診断された方・ご家族へ〜
膵臓がんステージ4や標準治療後の段階では、「もう治療法がないのか」「次に何ができるのか」という不安を抱える方が少なくありません。膵臓がんの多くにはKRAS変異が関与し、近年はRAS阻害薬などの新薬、免疫療法、腹膜播種への対応といった研究・開発が進んでいます。
プレシジョンクリニックグループでは、治療歴・遺伝子検査結果・全身状態をもとに、分子標的治療・腫瘍微小環境の改善・免疫療法の観点から、次に検討できる治療選択肢をご提案します。
What is Pancreatic Cancer Stage 4
膵臓がんは「沈黙の臓器」とも呼ばれ、初期症状がほとんどなく、診断時にすでに進行していることが多いがんです。ステージ4は肝臓・肺・腹膜などへの遠隔転移が確認された状態を指し、診断時の約80%が切除不能と判断されます。
膵管がんではKRAS遺伝子変異が高頻度に認められます。この変異により細胞増殖シグナルが過剰に活性化し、がん細胞の増殖に関わります。変異の「型」(G12D・G12V・G12R など)を知ることが、治験・RAS阻害薬・個別化医療の可能性を整理する第一歩になります。

Takai E, et al. Scientific Reports. 2015;5:18425, Figure 3. CC BY 4.0. 改変なし。
膵臓がんの代表である膵管がんでは、KRAS(約90%)のほか、TP53(50〜75%)・CDKN2A(約40%)・SMAD4(約50%)の変異が見られます。またBRCA1/2変異(5〜7%)も一部に存在し、治療方針(プラチナ製剤・PARP阻害薬の選択など)に影響します。
これらの変異情報を遺伝子検査(エクソーム解析・リキッドバイオプシー)で把握することで、個々の膵臓がんの「地図」を読み解くことができます。
用語集:KRAS変異とは →Standard Treatment Options
現在の標準化学療法はFOLFIRINOX・GnP療法・オニバイド療法が中心です。これらは「殺細胞性」抗がん剤であり、がん細胞だけでなく正常細胞も攻撃するため、骨髄抑制・末梢神経障害・消化器症状などの副作用管理が重要になります。
一方、MSI-H陽性例では免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)が保険適用となります。また遺伝子検査(CPS・TMB・HER2等)の結果によっては、さらに検討できる選択肢が広がる場合があります。
ゲムシタビン+nab-パクリタキセルの2剤併用。全身状態や年齢、合併症、既治療歴を踏まえて選択されます。末梢神経障害や骨髄抑制などの副作用管理が重要です。
用語集:GnP療法 →一次治療後に増悪した場合の二次治療として用いられます。イリノテカンをリポソームで包み、5-FU/ロイコボリンと併用します。骨髄抑制や下痢などの副作用管理が重要です。
用語集:オニバイド療法 →MSI-H・HER2・BRCA変異などのバイオマーカー陽性例で選択肢になります。コンパニオン診断による適応確認が前提です。
免疫チェックポイント阻害薬 →現在の標準治療の多くは「腫瘍の進行を遅らせる」ことを目標とした治療であり、ステージ4での根治は難しいとされています。標準治療に加えて、あるいはその後に何が検討できるかを知りたい方は、現在の遺伝子検査結果・治療歴をご持参のうえご相談ください。
Frequently Asked Questions
膵臓がんステージ4の患者さま・ご家族から実際に多く寄せられる質問にお答えします。
Our Three Scientific Approaches
膵管がんではKRAS遺伝子変異が高頻度に認められます。当グループが目指すのは、この変異情報を起点に、分子標的治療・腫瘍微小環境への介入・免疫療法を統合して、検討可能な選択肢を医学的に整理することです。効果や副作用には個人差があるため、病状・治療歴・検査結果を確認したうえで慎重に検討します。
最終的には3つのアプローチをゲノム解析の結果に基づいて組み合わせます。標準治療との並行・順次・補完といった関係性も、個別の状況に応じて設計します。
KRAS変異の型・CPS/TPSスコア・MMR・HER2などの分子情報に基づき、薬剤選択・免疫療法適応・ワクチン抗原設計の手がかりを得ます。エクソーム解析および各種リキッドバイオプシーを個別に実施します。
RAS変異がん専門外来 →がんは自らの周囲に免疫が働けない環境(TME)を作り出します。当グループ独自の解析のもとで処方する薬物療法により、腫瘍微小環境を整えることを目指します。
TME解説コラム →免疫チェックポイント阻害薬と樹状細胞ワクチン療法(腫瘍関連抗原+ネオアンチゲン)の2本立てで、自己の免疫でがんを攻撃できる体をつくることを目指します。
樹状細胞ワクチン療法 →3つのアプローチはそれぞれがとても重要です。「ゲノム解析で判明した変異の型と免疫・TMEプロファイルをもとに、どのような治療の組み合わせが考えうるか」をチームで整理、ご提案いたします。
Pancreatic Cancer Precision Medicine Team
開院以来、ステージ4の膵臓がん治療に力を入れてきた専門医チームです。消化器(肝胆膵)内科・外科、薬物療法、免疫療法、ゲノム解析の視点を持ち寄り、標準治療後に検討すべき選択肢をご提案いたします。
Treatment Results
当グループの膵臓がん症例の一部をご紹介します。治療効果には個人差があります。
膵臓がんステージ4(腹膜播種あり)に対して抗がん剤と免疫療法を実施。画像上で腹膜播種の消失が確認された症例。
※治療効果には個人差があります肝転移を伴う膵臓がんステージ4に対する治療後、画像上で原発巣と肝転移の消失が確認された症例。
※治療効果には個人差があります標準治療終了後、遺伝子情報に基づく分子標的薬と免疫療法を組み合わせ、画像上の改善が確認された症例。
※治療効果には個人差がありますステージ3膵臓がんに対し免疫療法を行い、手術により寛解。その後無再発で経過している30代の症例。
※治療効果には個人差があります
Director's Message
How to Consult
膵臓がんについて、初めての方でも相談しやすいよう、4つのステップで進めます。ステージ4・標準治療後・腹膜播種・KRAS/RAS変異のいずれの段階でもご利用いただけます。
相談フォームに、診断名・現在の治療状況・相談したい内容をご入力ください。
画像検査・病理診断・腫瘍マーカー・遺伝子検査・これまでの抗がん剤治療歴を確認します。
標準治療、臨床試験、分子標的治療、免疫療法、支持療法の観点から、主治医と確認すべき論点を整理します。
ご入力内容を確認したうえで、担当者より折り返しご連絡します。
プレシジョンクリニックでは、膵臓がん専門の外科医・内科医・がん薬物療法医・ゲノム解析に精通した医師がチームを組み、KRASをはじめとする遺伝子変異の解析に基づいて、お一人おひとりに合った膵臓がんの個別化医療をご提案しています。標準治療に加えて検討できる選択肢をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。