投稿日:2026.6.3/更新日:2026.11.3
結論から書きます。標準的な抗がん剤が効かなくなったMSSの大腸がんに、レゴラフェニブ(商品名スチバーガ)、ニボルマブ(同オプジーボ)、イピリムマブ(同ヤーボイ)の3剤を組み合わせた米国City of Hopeの第1相試験では、肝臓に転移のない22人のうち8人(36.4%)で腫瘍が縮小し、肝臓に転移のある7人では1人も縮小しませんでした。
免疫チェックポイント阻害薬がほとんど効かないとされてきたMSS大腸がんで、3人に1人以上が縮んだ。話題になったのはこの数字です。
ただし、これは1施設・29人・比較対照のない試験です。肝転移の有無で分けた解析も、試験を始める前から計画されていたものではありません。数字の大きさと、その数字をどこまで信用してよいかは、分けて読む必要があります。この記事では原著論文とその後の追跡報告を読み、両方を整理します。
試験はClinicalTrials.govに NCT04362839 として登録され、2020年5月から2022年1月までに39人が参加しました。対象は、フッ化ピリミジン・オキサリプラチン・イリノテカンを含む標準治療のあとに進行したMSS大腸がんで、レゴラフェニブも抗PD-1抗体もまだ使っていない人です。投与法は、レゴラフェニブ80mgを1日1回・3週投与1週休薬、ニボルマブ240mgを2週ごと、イピリムマブ1mg/kgを6週ごと。期間は最長2年。主要評価項目は第2相で使う推奨用量を決めることで、効果は副次評価項目という位置づけ。
最初の9人で用量を制限するほどの副作用が出なかったため、この用量が推奨用量になり、さらに20人が加わって29人で効果が評価されました。
| 評価項目(RECIST) | 肝転移なし(22人) | 肝転移あり(7人) | 全体(29人) |
|---|---|---|---|
| 奏効率(腫瘍が30%以上縮小) | 36.4%(8人) | 0% | 27.6%(8人) |
| 病勢制御率(縮小+安定) | 68.2% | 42.9% | 62.1% |
| 無増悪生存期間(中央値) | 5か月 | 2か月 | 4か月 |
| 全生存期間(中央値) | 22か月超(未到達) | 7か月 | 20か月 |
表1:推奨用量で治療された29人の成績(Fakih M, et al. JAMA Oncol. 2023;9(5):627-634. DOI: 10.1001/jamaoncol.2022.7845/NCT04362839 より作成)
縮小が得られた人では効果が長く続く傾向があり、奏効期間の中央値は17か月を超えて未到達。全体の29人で見ても、全生存期間の中央値20か月は、この治療段階の大腸がんとしては短くない数字です。
ただ、その数字を引き上げているのは、ほぼ「肝転移のない人」。肝転移のある7人は、縮小0人、全生存期間の中央値7か月。同じ薬を同じ量で使って、ここまで分かれました。
この試験には前史があります。出発点は日本。
国立がん研究センターの第1b相試験(REGONIVO、EPOC1603)で、レゴラフェニブとニボルマブの2剤併用が胃がん・大腸がんに試され、MSSの大腸がん24人中8人で腫瘍が縮小しました。抗PD-1抗体が単独ではほぼ無効な領域で、3分の1が縮んだことになります。
ところが、同じ2剤を米国13施設・70人で試した第2相試験では、奏効率は7%どまり。縮小したのは、すべて肝転移のない人でした。日本の試験でも、縮小した8人のうち肝臓に標的病変があったのは1人だけだったと報告されています。差を生んだのは人種か、施設か、患者背景か。答えは出ていません。ただ、両方のデータに共通していたのが「肝臓」でした。そこでFakih医師らは、T細胞の立ち上がりを促すとされる抗CTLA-4抗体イピリムマブを足せば、少なくとも肝転移のない人では上乗せがあるのではないか、と考えた。これがRIN試験の仮説です。
| 試験 | 組み合わせ | デザイン・人数 | 主な結果 |
|---|---|---|---|
| REGONIVO(EPOC1603) | レゴラフェニブ+ニボルマブ | 日本・第1b相 | MSS大腸がん24人中8人が奏効 |
| 米国第2相 | レゴラフェニブ+ニボルマブ | 米国・単群・70人 | 奏効率7%。奏効はすべて肝転移なし |
| RIN | 上記+イピリムマブ | 米国1施設・第1相・29人 | 肝転移なし36.4%/あり0% |
| ボテンシリマブ+バルスチリマブ | 改変型抗CTLA-4抗体+抗PD-1抗体 | 第1相・活動性肝転移なし77人 | 奏効率22〜23%(データ集計時点で異なる) |
| LEAP-017 | レンバチニブ+ペムブロリズマブ | 第3相・無作為化・480人 | 全生存期間9.8か月 対 9.3か月。事前基準を満たさず |
表2:MSS大腸がんで「キナーゼ阻害薬または抗CTLA-4抗体+抗PD-1抗体」を試した主な試験(出典は記事末尾。比較対照のない試験どうしの数字は直接比べられません)
表の一番下を見てください。キナーゼ阻害薬と抗PD-1抗体の組み合わせを無作為化第3相で検証したLEAP-017は、標準治療(レゴラフェニブまたはトリフルリジン・チピラシル)に対して全生存期間の延長を示せませんでした。ハザード比0.83、片側P=0.0379で、事前に決めた有意水準0.0214に届いていません。この型の併用が「大規模比較試験で確かめるとどうなるか」の、現時点で数少ない答えのひとつです。
2024年、同じグループが肝転移のない22人の長期成績を報告しました。追跡期間の中央値は41.6か月です。
無増悪生存率は1年24.1%、2年24.1%、3年19.3%。グラフでいうと、1年目以降はほぼ横ばい。全生存期間の中央値は27.5か月、3年全生存率は40.9%。データの締め切り時点で6人が治療効果を保っており、そのうち縮小が得られた3人は、2年間の治療を終えてから18か月以上、病変の再増大がありませんでした。
著者らはこの論文の要点に、英語で「potentially curative」という強い言葉を置いています。
ここは慎重に読むべきところです。22人中3人、治療終了後18か月という観察は、長く効いている人がいるという事実の記録であって、その状態がどこまで続くかを示すものではありません。生存期間には、試験後に受けた治療の影響も含まれます。そもそも比較対照がないので、この22人が別の治療を受けていたらどうだったかは、誰にもわかりません。
それでも、MSS大腸がんで免疫療法の生存曲線に「平らな部分」が見えたこと自体は、記録として価値があります。言えるのはそこまでです。
肝転移があると免疫療法が効きにくい、という観察はRINに限りません。上の表にあるREGONIVOの米国試験も、ボテンシリマブの試験も、奏効は肝転移のない人に偏っていました。
理由の候補として知られているのが、マウスで示された「肝臓がT細胞を消してしまう」という現象です。2021年の研究では、肝臓に転移ができると、肝臓のマクロファージががんを狙うCD8陽性T細胞を取り除き、その影響が肝臓以外の腫瘍にまで及ぶことが示されました。肝転移は局所の問題にとどまらず、全身の免疫を削っている可能性がある、という考え方です。
では、RINを受けた患者さまの体の中では何が起きていたのか。2026年、City of Hopeのグループが、試験参加者の血液(29人)と腫瘍組織(8人)を調べた結果を報告しました。
治療前の腫瘍を比べると、よく効いた人の腫瘍では細胞増殖やDNA修復に関わる経路、そして自然免疫のセンサーであるSTINGの発現が高く、効かなかった人の腫瘍では補体や代謝に関わる経路が目立ちました。治療後、効いた人では腫瘍の中に免疫のエフェクター細胞が増え、同じ時期に血液中のCD8陽性T細胞とNK細胞が一時的に減っていました。著者らは、これを血液から腫瘍へ細胞が移動したしるしと解釈しています。肝転移のある人の血液に見られたのは、T細胞の老化を示す特徴と、代謝の過剰な活性化。著者らの結論は、治療前から腫瘍に免疫が反応できる素地があり、T細胞の機能が保たれている人で効いた、というものです。
ただし、腫瘍組織を調べられたのは8人だけです。関連を見た研究なので、老化したT細胞が「原因」で効かなかったのか、進行した病状の「結果」として老化して見えるのかは区別できません。仕組みの手がかりとしては面白いのですが、治療前にこの検査をして、効く人を選べる段階にはありません。
推奨用量の29人では、副作用も軽くはない。免疫が関係するとされる副作用のうちグレード3以上で多かったのは、皮疹37.9%、肝酵素(AST・ALT)の上昇13.8%、筋肉痛10.3%です。皮疹はほとんどが治療1サイクル目に出て、レゴラフェニブの短い休薬と短期間の飲み薬のステロイドで対処できたと書かれています。免疫の副作用のためにニボルマブとイピリムマブを中断した人は8人(肝炎4、大腸炎2、髄膜炎1、皮膚の扁平上皮がん1)。8サイクル目に心肺停止で亡くなった方が1人おり、著者らは免疫療法との関連を否定しきれないとしつつ、がんやレゴラフェニブに伴う血栓の可能性のほうが高いと考察しています。
皮疹の多さを受けて、研究チームは計画を変更しました。1サイクル目だけレゴラフェニブを40mgに減らし、2サイクル目から80mgに上げる方法を、別の10人で試したのです。
| 項目 | 推奨用量(最初から80mg・29人) | 減量開始(40mg→80mg・10人) |
|---|---|---|
| グレード2以上の皮膚の副作用 | 51.7% | 10% |
| それ以外のグレード2以上の免疫関連副作用 | 65.5% | 30% |
| 腫瘍が縮小した人 | 8人(27.6%) | 0人(最良効果は安定が5人) |
| 無増悪生存期間(中央値) | 4か月 | 2か月 |
表3:レゴラフェニブの開始量による違い(Fakih M, et al. JAMA Oncol. 2023 より作成。減量開始群は効果を評価するための人数設計ではありません)
副作用は確かに減った。そして、縮小する人もいなくなった。
著者らはここから、免疫反応を起こすにはレゴラフェニブにある程度の開始量が必要なのではないかと考えています。最初の数週間の皮疹や免疫関連の副作用の多さ自体が、薬が免疫に強く働いているしるしだった、という読み方です。
10人の結果から用量と効果の関係を言い切ることはできません。減量群の顔ぶれ(ECOG PSが1の人が8人と多い、原発巣がすべて左側など)も、推奨用量群とは異なる。ただ、「副作用を減らすために最初の量を下げる」という臨床で自然に起こりそうな工夫が、この組み合わせでは効果を失わせたかもしれない、という警告は残ります。
この試験では、通常診療の一環として、治療前と治療開始4〜6週後に血液中のがん由来DNA(ctDNA)を測った人が39人中23人いました。
ctDNAが50%を超えて減った12人は、4人が縮小、8人が安定で、無増悪生存期間の中央値は9.5か月。増えた9人では8人が進行し、減り方が小さかった2人(14%減、30%減)も進行しました。印象的な1例も書かれています。BRAF V600E変異のある患者さまで、2か月後のCTでは肺に10個以上の新しい転移が出て「進行」と判定されたのに、治療を続けたところ肺の転移が消え、骨盤の病変もほぼ見えなくなり、腫瘍マーカーとctDNAも正常化しました。画像では悪化に見えて、あとから縮む「偽増悪」です。
6週でctDNAが下がらない人は早めに治療をやめる目安に、画像で悪化していてもctDNAが大きく下がっている人は治療を続ける根拠に。著者らは、そうした使い方を検証する価値があると述べています。ただし、測定は通常診療の範囲で、人によって測った検査も違い、事前に計画された解析ではありません。今の段階では「今後確かめるべき仮説」です。
MSS大腸がんでは、RAS変異があるとキナーゼ阻害薬と免疫療法の併用が効きにくいという報告もありました。RIN試験の結果は、それとは逆。
推奨用量の29人のうち、RAS(KRAS)変異のある20人では6人が縮小し、RASもBRAFも変異のない6人では1人も縮小していません。BRAF V600E変異のある3人は、全員が肝転移なしで、全員に縮小(うち1人は偽増悪のあと)が見られました。
腫瘍遺伝子変異量(TMB)が測れた縮小例7人は、全員が9以下。PD-L1の発現が0なのに、2年以上効いた人もいる。つまり、免疫療法でよく使われる目印は、この試験ではどれも効く人を選び分けられませんでした。
もうひとつ、縮小した8人のうち4人は転移が肺だけでした。著者ら自身、肝転移がないというだけで、腹膜や軟部組織、遠隔リンパ節の転移まで同じように反応するとは言えない、と書いています。RAS・BRAFの検査と原発巣の左右の関係については大腸がんの右側・左側とRAS/BRAF変異のコラムで整理しています。
数字が目立つ試験ほど、限界は先に並べておくべきでしょう。
①人数が少ない。肝転移のない22人中8人という奏効率36.4%は、95%信頼区間をClopper-Pearson法で計算すると約17〜59%になります(この計算は記事作成時にプレシジョンクリニックが行ったもので、論文には記載がありません)。真の値が2割前後でも、6割近くでも、矛盾しない幅です。
②肝転移の有無で分けた解析は、論文自身が「事後の、計画外の解析」と明記しています。最初から仮説として検証したものではありません。
③奏効率には、確定前の奏効が含まれる。8人のうち2人は、次の画像検査で縮小を確認できていません。確定した奏効だけで数えると22人中6人、27.3%です。
④対象は選ばれた人たちです。全身状態が良好(ECOG PS 0〜1)で、レゴラフェニブも抗PD-1抗体も未使用の人に限られています。1施設の試験で、画像判定を行ったのも、同じ施設の放射線科医と研究責任者。
⑤3剤それぞれの役割は分かれていません。イピリムマブを足したことで本当に上乗せがあったのかを確かめるには、REGONIVOとRINを同じ条件で比べる無作為化試験が必要ですが、それは行われていません。
⑥評価そのものが割れている。著者らは長期追跡の論文で治療の可能性を強く打ち出す一方、2026年にESMO Openに掲載された総説は、RINをアテゾリズマブやレンバチニブとの併用と並べ、MSS大腸がんで「おおむね否定的」だった試みの一つに分類しています。同じデータを、片方は希望の根拠として、片方は失敗の列に置いている。この食い違いは、比較試験がないかぎり埋まりません。
⑦記事作成時点(2026年11月)で調べた範囲では、RINを第2相・第3相で検証した結果の論文は見つけられませんでした。見落としの可能性はありますが、少なくとも広く参照される確証的なデータはまだありません。
以上を踏まえて言えるのは、「肝転移のないMSS大腸がんの一部で、免疫療法が長く効く例がある」こと、そして「肝転移の有無が、免疫療法の効き方を大きく分ける目印である」ことです。RINが標準治療より優れているかどうかは、わかっていません。
まず、国内の承認状況から。
レゴラフェニブは、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに対して承認されている薬です。一方、ニボルマブ+イピリムマブの併用が大腸がんで承認されているのは、MSI-Highの結腸・直腸がんに限られます(2025年8月に、化学療法の前後を問わない形へ効能・効果が変更されました)。MSSの大腸がんに対しては承認がありません。
したがって、MSS大腸がんにRINを行うことは、日本では保険の適用外です。日本人を対象にRINを試したデータも、記事作成時点では見当たりません(日本のREGONIVO試験はイピリムマブを含まない2剤併用です)。承認された効能・効果の範囲外で使った薬の副作用は、医薬品副作用被害救済制度の対象にならない場合があります。
免疫チェックポイント阻害薬そのものについては、免疫チェックポイント阻害薬のページで、使われ方と主な副作用を解説しています。
この論文群を読んで、当院の日常の実務と重なると感じた点は2つ。
ひとつは、免疫チェックポイント阻害薬そのものです。当院では、ニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)を用いた治療に取り組んでいます。ただ、この試験が突きつけたのは、同じ薬を同じ量で使っても、肝転移の有無で結果がまったく違ったという事実でした。2剤を使う側にとっても、ここは避けて通れない論点です。
もうひとつはctDNAです。RIN試験では、ctDNAの早い時期の変化が経過と結びついていました。当院では、市販の微小残存病変(MRD)検査を使うのではなく、院内で組み立てた方法でctDNAの推移を追っています。画像だけでは判断がつきにくい時期に、血液の情報を重ねて見るためです。
当グループの治療設計 SynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)は、樹状細胞ワクチン療法を〈アクセル〉、免疫チェックポイント阻害薬を〈ブレーキ解除〉、局所療法を〈スイッチ〉として組み合わせる考え方です。RINは、抗CTLA-4抗体で立ち上がりを促し、抗PD-1抗体でブレーキを外し、レゴラフェニブで腫瘍の環境に働きかける構成で、がんを狙うT細胞を外から教え込む〈アクセル〉にあたる要素は含みません。
2026年の解析は、「治療前から腫瘍に免疫が反応できる素地がある人で効いた」と結論しました。では、素地がない人に樹状細胞ワクチンで外から素地を作れば変わるのか。この問いは自然に浮かびますが、現時点では推論の域を出ず、MSS大腸がんでそれを確かめた比較試験はありません。当院のRAS変異がん専門外来ではKRAS変異を標的にした樹状細胞ワクチン療法も行っていますが、RINのような併用と組み合わせた場合の有効性・安全性は確立していません。
腫瘍の環境(TME)が免疫療法の成否を左右するという考え方は、免疫療法でなぜ「がん側」も攻略しなければならないのかで詳しく書いています。
この試験の結果を、ご自身やご家族の病状と照らし合わせるときに、順に確認しておきたい点です。
MSSの大腸がんに対しては、ニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の併用は承認されておらず、保険適用外になります。日本人を対象にこの3剤併用を試したデータも見当たりません。当院ではニボルマブとイピリムマブを用いた治療に自由診療で取り組んでいますが、この試験と同じ3剤併用の有効性・安全性は確立していません。研究段階の組み合わせであり、検討する場合は効果・副作用・費用のリスクを十分に理解したうえでの判断が必要です。
RIN試験では肝転移のある7人に縮小例はなく、ほかの複数の試験でも同じ傾向が見られています。ただし7人という少ない人数の結果で、「まったく効かない」と言い切れるデータではありません。肝転移があると全身の免疫が抑えられるという仕組みが動物実験で示されており、効きにくい理由の候補とされています。
わかっていません。RIN試験ではこの点は検証されていません。マウスでは肝転移の影響を取り除く研究がありますが、人で効果が上がることを確かめた比較試験はありません。
RIN試験では、RAS変異のある20人中6人で腫瘍が縮小し、RAS・BRAFともに変異のない6人では縮小例がありませんでした。人数が少ないため、RAS変異の有無で効き方が決まるとは言えません。
推奨用量の29人では、グレード3以上の皮疹が37.9%、肝酵素の上昇が13.8%に見られ、8人が免疫の副作用のためにニボルマブとイピリムマブを中断しました。皮疹の多くは治療の最初の時期に起き、レゴラフェニブの休薬と短期間のステロイドで対処されています。最初の量を減らすと副作用は減りましたが、縮小する人もいなくなりました。
MSI-High(dMMR)の大腸がんは遺伝子変異が多く、免疫チェックポイント阻害薬がよく効くことがわかっており、日本でもニボルマブ+イピリムマブが承認されています。MSSの大腸がんは変異が少なく、免疫チェックポイント阻害薬が単独ではほとんど効かないため、RINのような組み合わせが研究されています。
監修医師
矢﨑 雄一郎医師
免疫療法・研究開発
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。